「複利で伸びる一つの習慣 Atomic Habits」の要約まとめ
最小習慣の力
・弱小だったイギリスがツールドフランスで勝てるようになったのはほんの些細な1%の改善を何個も積み重ねて行ったから
・毎日1%だけでもよくなれば、複利の力で1年後には37倍の力を発揮しているはずである。
1日ではほとんど違いがないように見えるかもしれないが、2年、5年、10年とたって初めて結果が見えてくる
・良い習慣の形成
生産性:作業の自動化、新しいスキルの習得
知識:知識は複利のように増えていく
人間関係:自分のとった行動が人々から返ってくる、人を助けるほど、相手も喜んで助けてくれる。時が経つにつれて広く、強い人脈となる
・進歩は直線的なものだと思いがちだが、実際はプラトーを超えた先に進歩がある
・人生で欲しいものを手に入れる最善の方法は、具体的で実行可能な目標を設定すること、と良く言われる。
しかし、その結果は設定した目標ではなく、取り入れた仕組みに左右される
つまり、目標などなくとも仕組みが良ければ成功する
目標だけを決める問題点
1金メダルを目標にしている人の多くが金メダルを取れない(生存者バイアス)
2目標達成は一時的な変化にすぎない
3目標に達したら幸せになれると考えがち、つまり目標を達成して幸福になるか、達成できず失望するかの二者択一となっている
仕組み第一主義なら幸せになるのを待つ必要などなく、進捗によっていつでも満足できる。
4目標は達成したらそれを辞めてしまいがち。目標設定の目的はゲームに勝つこと、仕組みづくりの目的はゲームをし続けること
習慣がアイデンティティーを形成
・多くの人は何を達成したいかを意識して習慣を変えようとする。これは結果ベースの習慣となりやすい。
そうではなく、アイデンティティベースで、どのような人になりたいかを意識に向けて変化に着手する。
例えば喫煙に関して「結構です、やめようとしているので」→「結構です、吸いませんので」
結果ベース:結果→プロセス
・本当の行動変容はアイデンティティの変化であり、やる気があれば習慣を始められるかもしれないが、その習慣を続けられるのは、自身のアイデンティティになったときだけ。
「自分は有権者だ」と思っている人の方が「投票したい」とおもっている人よりも投票する確率が高い。
「私は朝型人間ではない」と思い込んでいる人が朝早く起きれるわけがない
・習慣はアイデンティティを体現する方法。毎日トレーニングをするとき、スポーツマンというアイデンティティを体現している。
・アイデンティティの語源は「繰り返す存在」
自分のアイデンティティと信じているのは、それを裏付ける証拠(習慣、行動)があるから。
・それぞれの習慣は「もしかしたら自分はこういう人かもしれないぞ」と提案するようなもの
それぞれの行動はなりたいタイプの人へ1票投じるようなもの。一つの実例では信念は変わらないが、票が集まれば新しいアイデンティティへの証拠も集まる
・ピアノの練習をするたびにあなたは音楽家になる、従業員を励ますたびにあなたはリーダーになる。
習慣を繰り返すことによって、実際にこういうことができると信じられるようになってくる。
・アイデンティティを得るための2ステップ
1どのようなタイプの人間になりたいのかを決める
2小さな勝利で、自分自身に証明する
・習慣は何かを手に入れるためにするのではなく、誰かになるためにするもの
シンプルな4つのステップで良い習慣を身につける
「満足できる結果につながる行動はくりかえされやすく、不快な結果を生む行動は繰り返されにくい」
・「習慣とは簡単に言えば、自分周囲で繰り返す問題への信頼できる解決方法」
習慣が作られると、脳の活動レベルが下がっていく。同じ状況がこれから先に起こっても、何をすれば良いのかわかるようになる。
かつては努力を要した選択が、今や自動的に行えるようになるのが、習慣の形成。
つまり習慣とは経験から学んだ、心のショートカット。
・習慣ループ
1きっかけ→2欲求→3反応→4報酬
目がさめる→頭をはっきりさせたい→コーヒー飲む→頭がはっきりするという報酬が満たされる。目がさめるとコーヒーを飲むことが結びつく。
スマホがなる→内容知りたい→スマホ見る→内容知りたいという欲求が満たされる。スマホがなることがスマホ手に取ることと結びつく。
仕事で壁にぶつかる→憂さ晴らししたい→SNS見る→憂さ晴らししたいという欲求が満たされる。壁にぶつかることがsnsを見ることと結びつく。
・良い習慣を作るための法則
きっかけをはっきりさせる。
欲求を魅力的にする。
反応を容易なものにする。
報酬を満足できるものにする。
・悪い習慣を断つための法則
きっかけを見えないようにする。
欲求をつまらなくする。
反応を難しくする。
報酬を満足できないものにする。
1きっかけをはっきりさせる
1.1習慣特典表を作る。現在の習慣に気づくために書き出して見る。
・習慣は始めるためのきっかけに気づく必要がない。
意識的に注意を払うことなく、機会を捉えて行動できる。だからこそ習慣は役に立つ。
また、だからこそ習慣は危険で、何が起きているのか気づく前に、無意識な心の指示に従って自動的に行動している。
・「無意識を意識しない限り、それはあなたの人生を支配し、あなたはそれを運命と呼ぶだろう」
・指差し確認は、行動を口にすることによって、無意識な習慣を意識的なものへと変えることができる。
悪い習慣が声に出されるのを聞くと、結果が現実的に感じられて、行動に重みがまして、古い習慣に陥るのを防いでくれる。
やるべきことを声に出していうだけで、実際にそれを行う確率が上がる。
1.2実行意図を使う。「私は<いつ><どこで><何を>する」
・いつ、どこで新しい習慣を行うか明確な計画を立てる人は最後まで遣り通す可能性が高い!=実行意図
1.3習慣の積み上げをする。
・習慣の積み上げは、実行意図の特殊な形で、すでに行なっている習慣に新たな習慣を積み上げる。
・習慣の山を作る秘訣は、物事を引き起こす正しいきっかけを選ぶこと。それは具体的で、はっきりしたものでなければならない。
1.4環境を作る。良い習慣のきっかけを、はっきり見えるようにする。
・習慣化において環境は非常に重要であり、見えるものを変えると、行うことが大きく変わるようになる。
・行動は環境にあるもので決まるのではなく、ものとの関係性で決まる。
机の上の道具や部屋のものと特別な関係を築いていく。
新しい習慣を身につけるためには、新しいもの、環境と結びつけるのが手っ取り早い。
効果的なモットーは「一つの場所に一つの使い方」
・自制心のありそうな人は、たいそうな意志や自制心が入らないように、生活を設計することに長けていた。
・例えば
仕事ができそうになければスマホの電源をきる
満たされてないように感じるなら、嫉妬を感じる人をフォローしない
ゲームをしすぎるなら使い終わるたびに電源を抜いて、クローゼットにしまう
2欲求を魅力的にする
2.1誘惑の抱き合わせを利用する
・食品科学の主な目的は消費者にとって魅力的な製品を作ること
彼は自分たちの心をつかむのが、うまくなりすぎている
・ギャンブル依存症の人は勝った後でなく、賭けをする直前にドーパミンが急激に増える
私たちを動かすのは、報酬の実現ではなく、報酬の予測
・ドパミンスパイクの推移
習慣を身につける前:4報酬でピーク
次の数回:2欲求でピーク、4の報酬ではもはやピークは起こりづらい
報酬が得られないと:2欲求でピーク、4の報酬で失望し、ドパミンが下がる
遅れて報酬が現れると:2欲求でピーク、4の報酬で一度下がってから上がる
・習慣を魅力的にする方法の一つに誘惑の抱き合わせがある
例えばネットフリックスを見るためには自転車を漕がないといけない
2.2望ましい行動が普通の行動の文化に加わる
・私たちは自然と3つのグループの行動を真似ている
1近しい人
仲間に属することほど、モチベを保つものはない
個人的に追い求めるものが、仲間と一緒に追い求めるものに変わる
共有するアイデンティティが、個人のアイデンティティを強化するようになる
2多数の人
習慣を変えると集団に逆らうことになる時、その変化には魅力がないが、習慣を変えると集団に溶け込めるならその変化は魅力的になる
3力のある人を真似る
地位の高い人は他人からの承認や尊敬や賞賛を得ている。つまり承認や尊敬や賞賛を得られる行為は魅力的だということ
チェスの天才の子供は、両親のほめ言葉やグランドマスターのような称号に至るまで、努力を続ける理由がたくさんあった
2.3モチベーションを高める儀式を作る。難しい習慣の直前に楽しいことをする。
・人の潜在的な動機は
恋人を見つけて子供を作る
他人と繋がり、絆を深める
社会的に承認される
不安を解消する
地位や名声を獲得する
人の感じる具体的な欲求や行っている習慣は本質的に存在する動機に対処しようとする試み
・ネガティブな部分ではなく、ポジティブな表現に言い換えるようにする
・モチベーションを高める儀式。アスリートもやっている、音楽を聴くなど。
深く3回深呼吸をして微笑む→音楽を聴く というように連結させると最初だけで幸せな気分になる
3反応を容易なものにする
3.1抵抗となるものを減らす。
・クラスを量で評価するグループと質で評価するグループに分けたところ、優秀な作品は全て量で評価するグループから生まれた。
「最善は善の敵である」
意向があることと、行動を起こすことの違い
・行動を繰り返すたびに、習慣に関する回路を活性化させている。繰り返すことが新しい習慣を符号化するのに最も重要なステップ。
最初は100%できる簡単な習慣から。
3.2環境を準備する
・未来のために環境を準備する
場合別にグリーティングカードを用意しておいて、必要になるとそこから取り出して送る。
1日を計画的に過ごすために、2週間の予定をあらかじめ立てておき、前日にもう一度予定を立て直す。
食事を改善したければ週末にたくさんの果物と野菜を細かく切って容器に詰めておく。
3.3決定の瞬間を意識する。大きな影響をもたらす小さな選択(=習慣)を最大限利用する。
・研究者の推定によれば一日の行動の40~50%は習慣で行われている。
ただ実際は、習慣の影響はこれよりも大きい。
習慣による自動的な選択が後に続く意識的な決定に影響するから。習慣はほんの数秒で完了するが、そのあとの数時間に及ぶ行動を決める。
つまり習慣は高速道路の入り口のようなもの。
習慣とはおきて着替えて、タクシーの運転手にジムの行き先を伝えるまで。そこからは自動的にジムで運動をする。
3.4習慣を2分以内にできるものに短縮する
・2分間ルール
新しい習慣を始めるときは2分以内にできるものにする。
「毎晩寝る前に読書」→1ページ読む
「ヨガを30分する」→ヨガマットを取り出す
「授業の予習をする」→ノートを開く
「洗濯物たたむ」→靴下3足たたむ
「5キロ走る」→ランニングシューズの靴紐結ぶ
・続けるコツは仕事のように感じられない程度に止めておく事。
いつも面倒に感じる前にやめておく。「一番いい方法はうまく行きそうになったところで、すぐにやめる事」
これによって自分が築きたいアイデンティティに1票投じることになる。
3.5習慣を自動化する
・生活をできるだけ自動化すると余った時間とエネルギーを他のことに使うことができるようになる
4報酬を満足できるものにする
4.1強化を利用する。習慣を完了したらすぐ自分に報酬を与える。
行動変容の最初の3つ「はっきりさせる」「魅力的にする」「易しくする」は今行動を起こす確率をあげるもの
4つ目の「満足できるものにする」は再び確率を上げるためのもの。
・良い習慣のコストは現在にあり、悪い習慣のコストは未来にやってくる。
ほぼどんな分野でも成功するにはどこかで即時報酬を無視し、遅延報酬を選ぶ必要がある。
・習慣の積み上げは、習慣と始まるきっかけを結びつけるもの
「強化」は終わった時に満足させる即時報酬とを結びつけるもの
4.2利益が見える方法を考える
・短期的には結果が見えず続けるのが難しいことは、あえて可視化できる数値に置き換えたり、即時的報酬に置き換える
例えばジムで運動することの報酬としてマッサージ(健康な人になるというアイデンティティにも一致)
勉強時間を記録してその数値がどんどん上がっていく
4.3習慣トラッカーを使う
・ペーパークリップ戦略
一つのびんにクリップを120個入れ、セールスに電話をかけるたびにもう一つのあきびんに移していく
「習慣トラッカー」は習慣を行ったかどうか測るシンプルな方法
・コメディアンのジェリー・サンフェルドはジョークを書き続けるために習慣トラッカーを使っている。
彼の目標は毎日ジョークを書くという鎖を断ち切らないこと。ジョークがいいか悪いかを気にせずに、机に向かってジョークを書き加えることに力を注ぐ。
・習慣トラッカーは結果が目に見え、やることリストを線引きしたりなど記録すること自体が報酬になり得る。
4.4 2回はサボらない。習慣を忘れたらすぐに元に戻す
・習慣が途切れた時にすぐに元に戻る方法として、「2回目はサボらないこと」を意識する。
調子の悪い日に「実行すること」こそ重要である。どんなに出来が悪かろうと関係ない、維持できるだけで素晴らしい。
・しかし測れるからといってそれが最も重要な要素とは限らない。
例えば、時間を測定しているからといって、有意義な仕事をするより、長時間働くことが大事にはならない。
・誰かに見られているということは強力な動機になり得る
さらなる戦略
・成功する確率を最大に高める秘訣は正しい競争分野を選ぶこと。
自分の能力にあっていれば、習慣は行いやすく、続けるのは楽しい。
この戦略をとるには人は生まれながらに能力が違うという単純な真実を受け入れる必要がある
・経験への開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症的傾向は生物学的な裏付けがある。
例えば、音の方を向く赤ちゃんと顔を背ける赤ちゃんはそれぞれ外向的、内向的な性格になる
・自分に有利なゲームをするために学ぶことはモチベーションを維持し、達成感を得るのに欠かせない。
・有利なゲームを見つけるためには試行錯誤をすること。
効果的な戦略は8割の時間で正規の仕事でできるだけの結果を出し、残りの20%の時間を探索に使い続けること。(グーグル)
・選択肢を探すときの質問
自分には楽しいのに、他人には仕事だと思えるものは?
時間を忘れてしまうものは?
普通の人より良い評価を得られる分野は?
自分にとって自然なことは?
・自分に有利なゲームが見つからなかったら作ればいい。
うまくなることで勝てない時でも人と違うことで勝つことができる。2つのスキルを組み合わせて競争レベルを下げれば目立ちやすくなる。
・モチベーションを維持し、願望を最大限に叶える方法は「ちょうど良い難しさ」の作業に取り組むこと
ゴルディロックスの原理:人は現在の能力ギリギリの仕事をする時に、最高のモチベーションを得られる
・成功を最も脅かすのは失敗ではなく、退屈だ。
習慣が楽しく無くなると飽きてしまう。結果も予想がつくようになる。飽きると新しいものを求めようとして進歩から脱線し始める。
「順調な人が順調でない人と同じくらい変化をのぞむほど、人間は目新しさを求めるものである」
心理学で言うところの「変則報酬」
・確かなことは、習慣を続けられるようになった時、それをやめたくなる日がやってくる。
仕事をしたくない日もある、トレーニングをしたくない日もある、苦痛だったり、うんざりする時にさらに力を入れて行えるかどうかがプロとアマチュアの違い。
普通の人とできる人の違い。
プロはスケジュールを守り、自分にとって何が大切かを知っていて、目的意識を持って取り組む。
・優れた人になる唯一の方法は同じことの繰り返しに、いつまでも魅了され、それを継続する自分に酔えること。
・習慣のプラス面は考えずに行動できること。マイナス面は一定のやり方に慣れてしまい、改善しないこと。
歯磨きや紅茶を入れるといった習慣は改善する必要がない。
しかし、抜きん出たパフォーマンスを達成したいならもう少し工夫が必要。
必要なのは、自動的な習慣+計画的な練習 の組み合わせ
・レイカーズはCBEというパフォーマンスの点数評価を用いて、シーズンで結果を少なくとも1%上昇させるようにしていた。
・改善とは習慣を身につけるだけではなく、微調整することでもある。見直しと考察によって時間を正しいことに使えるし、必要な時に軌道修正できる。
・半年に一回integrity reportを作成して、
1生活や仕事を導いている基本的価値観は何か?
2今、どのような誠実さを持って生活や仕事をしているか?
3どうしたら将来もっと高い基準を設けられるか?
に答える
・アイデンティティの一つの側面だけに、人となりの大部分を占めさせない。一つの信念だけで自分を定義すると、試練が起きた時に適応できるものがほとんどなくなる。
アイデンティティを小さく保つこと。
⭐︎いつまでも成果を得続ける秘訣は、改善するのをやめないこと。
やめないだけで、驚くほどのものを築くことができる。
仕事を辞めなければ驚くほどのビジネスを築ける。
トレーニングを辞めなければ、驚くほどの身体になれる。
学習を辞めなければ、驚くほどの知識が身につく。
貯蓄を辞めなければ、驚くほどの財産になる。
親切にするのを辞めなければ、驚くほどの友情が生まれる。
小さな習慣はただ加算されるのではない。複利で大きくなっていく。
これが最小習慣に力。小さな変化が驚くべき成果をもたらす。