起業の科学を読んでそのポイントをまとめていく part12
こんにちは、ひろぞうです。
今回は前回の「4−2MVPの構築、4−3MVPをカスタマーに届ける」の続きです。
4−4MVPの評価を計測する
スプリントの繰り返しで評価を計測
スプリントカンバンボード のユーザーストーリーを実装完了のステージから定量検証にまず移してから実際の作業を始める。
PMF達成前のスタートアップにおいては売上高や利益率のような指標は重要ではない。
大切なのは「プロダクトがカスタマーにとって愛されるものなのか」ということ。
定量分析で定番の指標を使う
AARRR(海賊指標)を用いる。
Acquisition 獲得
Activation 使用開始
Retention 継続利用
Referral 他のカスタマーの紹介
Revenue 売りあげ
アプリであれば、MVPの投入で1000人のユーザーがランディングページを見に来た(aquisition)とすると実際にアプリを使い始める(Activation)のは100人程度。実際に課金する人は1人だけ。
途中の穴が多いほどユーザーがそこから離脱してしまう。なのでAARRR指標は穴の空いたバケツに例えられる。MVPを検証するステージでフォーカスすべきなのはactivation,retention, revenueの3つ。これらは「人が欲しがるプロダクトになっているか」を示す指標そのもの。
水漏れがある段階での集客は無駄
アプリを1000人がダウンロードして課金するのが1人だったとすると、広告に膨大な費用をかけて5000人のユーザーにダウンロードさせたとしてもバケツの穴が空いたままなら課金するのは5人にしかならない。
MVPの検証によってPMFに近づく活動は、カスタマーと直接対話することによってバケツの穴を1つ1つ塞いで行く作業。
AARRRに基づいてKPIを設定
UXの遷移イメージを用意してどの画面がどのフェーズに当たるのかをマッピングして行く。切り分けができたらそれぞれのステージのパフォーマンスを定点観察するための定量的な指標となるKPIを定義する。
acquisitionなら登録画面に来たUU数。activationならユーザーのサインアップ率。retentionなら再ログイン率など。
またできるだけ細かいさぶKPIに分割することでユーザーの行動を追跡する。
優れた計測指標の特徴
・改善につなげやすい
・計測しやすい
・mece感がある UXを通して重複なくもれなくKPIをカバーできているか
・インパクトがある プロダクトの全体パフォーマンス向上につながる影響力があるか。
2014年のドイツ代表は最重要KPIを「ボールを受け取ってからパスを出すまでの時間短縮」とした。これはこの時間が短い試合での勝率が高かったことに基づいている。インパクトのあるKPIは多くの場合先行指標になる。つまり、それを改善できると結果も大きく改善される。マネーフォワードの重点的KPIは銀行口座情報登録率。銀行口座情報と日々の入金がアプリ内で連結され、自分の家計が可視化される。この瞬間が価値を最も向上させるマジックモーメント。
定量的計測が重要な理由
・目標に向かって自分たちがどんな位置にいるか正しく認識できる
・ステークホルダー間での共通言語
・目標と現実のギャップを可視化
最初のフェーズのacqusitionを100%とした時のそれぞれの何%が各フェーズに達したかを考える。
MVPの最重要KPIは定着率
スタートアップには「rule of gross-10(最初の10人に売る)」という原則がある。10人に売れないものは100万人に売れるプロダクトには絶対にならないと言う意味。
プロダクトのユーザーを増やすには順番がある。最初に取り組むべきは、プロダクトに最初に注目してくれたユーザーをそこそこ気に入ったレベルから熱狂的なファンに育てること。その後でユーザー拡大を考える。
activation, retention, revenueはプロダクトの熱狂率を測る物差しとなる。特にretentionはプロダクトが心に刺さっているかを示すもので熱狂度との強い相関がある。
KPIはスプリントによる評価を繰り返すたびにより適切なものに磨き込む必要がある。
KPI設定で陥りやすいポイント
・結果指標しか見ていない
なぜ結果指標が今の値になったのかを説明できる別の指標をKPIに定めるべき。
・アクションできない指標を見てしまう
具体的に対策の練れる指標を作る
・一見相関性があるように見えるだけの指標を用いてしまう
フェイスブックのフォロワーとユーザー数は関連性がない。
どんなKPIをお見ているかは創業者の専門性をはっきり示す。
虚栄の指標として、例えばページの滞在時間がある。これだけでは意味がなく、どのページに滞在しているかを計測する必要がある。(サポートにいる時間が長ければサイトの使い勝手が悪いことになる。)
定性分析のインタビューでインサイトを得る
カスタマーの主観的な体幹を得るためにインタビューを行う。
価値を感じた、感じなかったフィーチャーを明らかにして、その理由を明確にする。
それらをチーム全体で言語化して、共有する。
組織的な知識創造を仕組みに
MVP投入後、インタビューからメンバー全員が学びを得るには暗黙知と知識知を分けて考える。
個人の知識には言語化されていない暗黙知がある。これは経験に基づいていつの間にか身についている感覚的な知識。その暗黙知を持った人同士で対話をすると客観的な形式知が生まれる。それを組み合わせたアイデアやプロダクトを実践していく中でまた個々の中に暗黙知が生まれる。
スプリントを繰り返す仕組みに、知識を蓄積するプロセスを組み込んで限られた時間のなかでいかに多くの知識を蓄えられるか。
4−5新たなスプリントを回す
PMF達成へ再びスプリントを実行
MVPを市場に投入して最初の学びを得た後はそれを元に軌道修正したユーザーストーリーに取り掛かることになる。
スプリントを1回実行すると実験してみたいストーリーが出てくるはずなのでスプリントカンバンボードのバックログステージに追加しておく。
2回目以降のスプリントと1回目のスプリントを比較して改善が見られたかを確認する。
また、2つのプロダクトを実際に使わせて両者を比較する方法、スプリットテストもある。
スプリントを繰り返す上で不必要なフィーチャーをむやみに付け足してはいけない。インタビューによって必須とわかったものだけを追加するようにする。
PMFは達成できたか?
判断する基準としては
・ユーザーの高いリテンションを保てているか
・カスタマー獲得から売り上げを確保するまでの流れは確立できているか
・リーンキャンバスの項目全体を見て成立しているか
プロダクトに熱狂しているかどうかを調べるテスト『グロースハック』
実際にプロダクトを使っているカスタマーに対して「このプロダクトがなくなったらどう思う?」と質問して、40%以上のユーザーが「非常に残念」と答えたら今後も継続的に顧客を獲得できると判断する。
今回は以上です!
次回は「4-6 UXを磨き込む」です。