起業の科学を読んでそのポイントをまとめていく part4
今回は前回の「1−3アイデアの蓋然性を検証する」の続きです。
1−4リーンキャンバスを用いてplanA(最善の仮説)を作る
リーンキャンバスをとりあえず何個も作ってみる
リーンキャンバスとはスタートアップのビジネスモデルなどをビジュアル化するツール。
https://kigyotv.jp/news/lean-canvas/より
重要なのは課題、顧客である。
現時点で課題は検証前の仮説であることに注意をする。
顧客は臨場感のあるペルソナ像を考えることがポイント。
独自の価値提案では、誰かが見つけて顕在化している課題ではなく、だsれも見つけていないが隠れたニーズがありそうという潜在的な課題の候補を見つけるのがポイント。
ソリューションの詳細は現段階でこだわる必要はない。
チャネルは顧客にリーチする経路。
収益の流れでどのような課金体系になりうるのか考えてみる。
コスト構造は特に初期投資の必要なフィンテックやバイオテクノロジーで重要。
主要指標でオススメなのはAARRR指標(海賊指標)。現段階で注目すべきなのはactivation(顧客の活性化),retention(顧客の定着)。
圧倒的な優位性は、アイデアの検証段階で埋められなくても問題ない。具体的には内部情報、専門家の支持、ドリームチーム、ネットワーク効果、既存カスタマーなど。
スタートアップのシード期には体勢の整った事業計画書はいらない。リーンキャンバスのように簡単にかけて、簡単に共有できるツールを使って効率よくplanAを作成することが大切。
「スタートアップにとって最も貴重な資源は時間である。リソースがなくなる前に最も多く学習した者が勝つ」
planAの作成は学習を加速させるのに必須となる仮説構築である。
リーンキャンバスの見直し
リーンキャンバスはその時点での最善の仮説なので継続的に見直す必要がある。
その作業は、ファウンダー一人ではなくて、創業メンバー全員を巻き込んでやるべきである。大事なのはメンバーが当事者としてアイデアの磨き込みに貢献することによって納得感とアイデアの「自分ごと化」ができること。
アイデアの最適解を見つける手順としては
1リーンキャンバスで複数バージョンのplanAを作る
2それぞれのplanで最も不確実性の高い項目は何かを理解する
34段階でそのplanを検証する(課題を理解する、解決策を定義する、定性的な検証をする、定量的な検証をする)
このプロセスを経て、最終的に全ての項目で納得のいくリーンキャンバスが出来上がったら、それがビジネスモデルの原型となる。
事業のピボット
検証の結果これまでの方向性ではPMFができる蓋然性が低いと判断した場合にはピボットを行うことになる。
スタートアップはリソースが尽きて時間切れになる前にピボットを繰り返して勝ち筋へとつながるビジネスモデルを見つけなければいけない。
「ピボットはビジョンを変えずに戦略を変えることである」
実際スタートアップの66%が当初のプランを大幅に変更している。
リーンキャンバスなどを使ってメンバー間でアイデアを共有しておくとピボットの理由がより明確になってメンバーがチームを離れることも少なくなる。
スタートアップ全体の方向性を指し示すビジョンは後からピボットできないことをファウンダーは当初から強く意識しておくべき。創業メンバーが一生をかけても良いと思えるビジョンを見つけることができるかが、成功に近づく大きなポイント。
スタートアップがサービスでPMFを達成するまでの道のりはかなり険しい。
顧客の抱える課題の仮説を立てて、直接話して課題について学び、顧客の本音を知るためにMVP(プロダクト)をリリースし続ける。こうしたことをスタートアップは手元資金が尽きる前に繰り返し行わなければいけない。
1章コラム サイドプロジェクトでアイデアを練る
第1章ではアイデアを検証するフェーズについての解説をした。
これらの知識は実際にオフィスを飛び出して顧客と直接話す前の準備段階で理解しておいた方が良い。
リーンキャンバスを作ったり、顧客の話を聞いてリサーチしたりすることは週末起業のようなサイドプロジェクトで十分対応できる。
こうしてアイデアを検討した結果、起業しないことが最善策になるケースも多い。アイデアを磨く段階では会社は登記せずにサイドプロジェクトで行動を始めた方が良い。
「スタートアップのアイデアを得る最良の方法はスタートアップのアイデアを考えようとしないことだ」
事業のアイデアのヒントは日常生活の中にあることが多い。
日々の気づきや心の奥底で感じた本音を逃さずに突き詰めると、スタートアップの優れたアイデアにつながりやすい。
実際に多くのスタートアップのアイデアはファウンダーが定職についているときに生まれている。ジェフベゾスは金融機関に勤めながらECにチャンスがあると気づいた。多くのファウンダーが定職があって余裕がある中でのサイドプロジェクトとしてアイデアを考え始めている。
定職につきながら進めるサイドプロジェクトも1個である必要はない。複数を同時に走らせて、一部を実際に動かすことだって可能。
「どうせやるんだったら追い込んだ方がいい」東夷のはスタートアップでは逆効果。
良いアイデアは追い詰められるから出てくるものではないのである。また、結果を追い求めるあまり課題を検証することが疎かになってしまうというデメリットもある。
良さそうなアイデアを思いついたら
「そもそもこの課題は本当に存在するのか?今存在する代替案で解決できれば十分ではないのか?」という余裕のある視点を持つことができる。
「まず初めにすべきはアイデアを練ること。スタートアップを始めるのはその次です。」
この段階で会社を立ち上げないほうが良いもう一つの理由は人材のミスマッチが起こるため。初期メンバーの相性を見極める前に会社を立ち上げて株を折半したらもう取り返しがつかない。
お互いにビジョンを共有できるか、スキルや経験を補完しあえるかなどを見極めることが求められる。
さらに会社を早くに作ると事務作業やコストも発生して会社の維持自体が目的化してしまうことがある。
ビジネスの方向性が見えるまでは会社登記せずにプライベートなプロジェクトで進めることが肝心。
サイドプロジェクトを企業で採用している例としてはgoogleの「80/20ルール」。業務時間の80%は本業に当てて、20%は本業とは関係のないサービス開発に当てるというものだ。サイドプロジェクトからはgmail,google mapなどが生まれた。
初期の段階では上下関係は基本的になく、フラットな議論をすることが重要。
サイドプロジェクトを手伝ってくれる人を探したいならスタートアップウィークエンド、ハッカソン、アイデアソンなどのイベントに参加してみる。将来の共同創業者候補を探すことができるだろう。
今回は以上です。
次回は第2章「課題の質を上げる」に入ります。「2−1課題仮説を構築する」です。