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20代医大生のブログ。日々の情報収集のアウトプット。

起業の科学を読んでそのポイントをまとめていく part1

 

今回は田所雅之さんの「起業の科学」という本の内容をまとめていきたいと思います。

この本は何回か起業を経験した著者が、1000人以上の起業家を取材し、起業に関する本を300冊読み、ブログ500本、公演動画1,000本を解析して、

「起業においてありがちな失敗をあらかじめ潰しておこう」というコンセプトで作られた本です。

 

本の内容がかなり濃くて、読むのに非常に時間を要しました。

それだけ得ることも多かったので、自分のための備忘録として、そして一度読んだことのある方に向けて復習用になると思いブログとして、内容の概略をここに記します。

内容がかなり多いので何回かに分割して記事として載せていきたいと思います。

 

まずはじめに、この本は大きく5章に分かれています。

 

1章 アイデアの検証

2章 課題の質を上げる

3章 ソリューションの検証

4章 人が欲しがるものを作る

5章 スケールするための変革

 

特にこの著書では、起業するにあたって世の中にある課題をしっかり考えて、課題の質を上げること、そしてそれに対するソリューションの質も上げていくこと。

この2つを徹底することが強調されており、重点的に解説されています。

 

今回はまずアイデアの検証からまとめていきます。

 

1−1 スタートアップにとっての良いアイデアとは

多くのスタートアップはPMF(Product Market Fit、市場で顧客から熱狂的に愛される製品のこと)を達成できずに失敗する。

それはプロダクトを作る前の段階でアイデアが十分検討されていないから。

ではスタートアップで最も重要なアイデアは何か。

それは課題ありきのアイデア。しかし、スタートアップでは儲かるアイデアやニッチなアイデア、先端技術を使ったアイデアが多すぎる。

目指すべきは課題の質とソリューションの質が両方とも高いアイデア。ではどのようにそれを見つけるか。

それは「課題の質を上げてから、ソリューションの質を上げること」

よってスタートアップを始める前に真っ先に注力すべきは、解決を目指す課題の質を向上させること。

「今検討しているアイデアは顧客にとって本当に痛みのある課題なのか?」

「このアイデアの妥当な代替案がすでに市場に存在していないのか?」

このように深掘りを繰り返すことによって価値のある良いアイデアとなる。

課題を軽視した例としてはグーグルグラス。顧客の課題は何なのかを明確にできていなかった。

 

課題の質は何によって決まるのか。

・高い専門性

・市場の知識

・市場環境の変化に対する理解度

 

他に課題の質を高める方法としては、自分が痛みを感じている課題を解決すること。

課題が見えたら、「もし魔法のランプがあって課題を解決してくれるソリューションがあったとしたら、どんなものがいいか?」

スマート保育園を行う「ユニファ」の土岐社長は日本全国の保育園を300箇所訪れて、ヒアリングを重ねている。

 

第3者の課題を解決しようとすることはできるだけ避ける。第3者の課題とは自分がそこまで共感や思い入れのない他人に課題のこと。強い共感を持てない課題は自分ごとにならず、痛みの検証が表面化になってしまう。そもそも自分が共感していなければ説得力がなく協力が得られづらい。

「誰がその製品を心の底から欲しがっているのか?」という質問に対してベストな回答は起業家自身である。

 

なぜここまで課題に共感することが必要か。

それはプロダクトを市場に投入するまでのフェーズでビジョンやミッションはスタートアップの最大の競合優位性になるから。ユーザー、企業メンバー、投資家。いずれもファウンダーが語るビジョンとミッションに引かれて集まる。つまり、これらを語れないファウンダーの音には魅力的な人材が集まらない。

また、スタートアップの歩む道のりは想像以上に辛い。強いビジョンがあると高いレジリエンス(メンタルの回復力)になる。

 

自分ごとの課題になっているかを確かめるには、「その課題にストーリー(原体験)があるか」と表現できる。ユーグレナバングラデッシュに訪れたことが原体験。

 

誰が聞いても良いアイデアは避ける。

周りからネガティブなフィードバックが集まる状態をマーケットがまだ定義されていない状態として、事業を手がけるチャンスだと考える。

paypalのピーターティール氏は「競争は負け犬がすること」だと言っている。

価格競争となれば資金力のある大企業に負けてしまう。

だからこそ、アイデアを話してみて相手がコメントに戸惑ってしまうようなもので、課題が未解決のものにフォーカスすることが大切。

大企業は既存ユーザーの既存の課題に対してソリューションを提供するので、それはスタートアップがやるべきことではない。

スタートアップは課題の検証からスタートして、前例のない解決策を考える必要があるので茨の道である。

「スタートアップではハードなことをする方が実は近道である。簡単な道を選ぶことは結果として遠回りになる」

 

成功する人は他の人が知らない秘密を知っている。

クレイジーなアイデアはまだ誰も言語化できていない秘密を見つけることで生み出される。

インスタカートが成功したポイントは「買い出しは自分で行うもの」という通例に疑問符を打ったこと。

 

最近はパラダイムシフトが高速化してプロダクトの旬が短くなっている。これだけ世の中の動きが早いと後から自分たちがやろうと後追いしても遅い。

だからこそ、一見悪そうに見えるクレイジーなアイデアが良いアイデア

 

新興国市場で先に磨いたプロダクトを先進国に持ってくることをリバースイノベーションという。これもパラダイムシフトの高速化に一役買っている。

 

ロイヤルティループとは製品を知った人がそれを気に入って、ユーザーとして定着して使い続けてくれるまでの流れの輪。従来は認知、興味、欲しい、記憶、購入というaidmaモデルだったがネット系のサービスに関してはaidmaのループを回している暇などない。

ほとんどのサービスで最初の1ヶ月無料というフリーミアムが定番化した。

気軽に使う中で本格的にユーザーが定着するという新たなループが生まれた。これによって顧客との接点が増え、サービスに対するフィードバックも高速で集められるようになる。

 

スタートアップが避けるべき7つのアイデア

1誰がみても最初から良いアイデアに見えるもの

すでに誰かが手がけて失敗している可能性が高い。ないならpmfに至る勝ち筋がなかったり、十分な代替案が存在している。

 

2ニッチすぎる

現状はニッチでも将来的な成長が見込める市場であるべき。

 

3自分が欲しいものではなく、作れるもの

 

4根拠のない想像上の課題

自分が詳しくない分野で課題を明確しないで行うと、たとえクラウドファンディングでお金が集まっても、結局スケールできない。

 

5分析から生まれたアイデア

市場を俯瞰して空いている部分を狙うというロジカルなトップダウンアプローチを試みても、ファウンダーの思いがかけていると失敗するケースが多い。

 

6激しい競争に切り込むアイデア

大手企業との価格勝負の持久戦にスタートアップが勝つことはできない。

 

7ひとことでは表せないアイデア

誰のどのような課題をどのように解決するかを一言で表せないアイデアは磨き込みが足りない。

 

今回は以上です。

次回は「1−2スタートアップのメタ原則を知る」です。

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