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20代医大生のブログ。日々の情報収集のアウトプット。

北原茂実の「病院がトヨタを超える日」は本当に来るのではないかと思っている

 

今回は医師であり北原国際病院の院長である北原先生の著書「病院がトヨタを超える日」の内容をまとめてみました。

自分は大学2年の時にこの本を読んで衝撃を受けました。

そして昨年北原先生の講演を聞く機会があり、やはり生の講演会は非常に感動し、そしてこのような人が医療の世界のフロントランナーになるのだろうなと本気で思いました。

本当であれば多くの医療関係者に北原先生の講演を一度聞いていただきたいのですが、北原先生の著書を読むことで少しでも医療への考え方に新たな価値観が加わればいいなと感じています。

それではどうぞ。

 

・医療の現場は買う側のニーズが無視され、売る側の論理のみが横行している

医療の実績や実態に関する情報公開はまったく進まず、自分が病気になったときどの病院にかかればいいのかを判断する客観的データは皆無に等しい

→→買う側のニーズを考え、患者と医者の信頼関係を築くには病院をスーパーに置き換えてみる!

「スーパーの完全会員制」・・・入会金は不要。条件は月に二時間ほど働くこと。こうすることで人件費が減らせる、信頼が回復する(自分が買うかもしれない商品について不正を働く人はいない、商品の陳列ひとつとっても買う側の立場から利用しやすい工夫がなされる)

医療崩壊:最大の理由は少子高齢化による財源不足。その解決策として

1国内に新たな財源が期待できないなら国外に求める

2医療コストそのものを抜本的に引き下げる

 

・実際問題として退院できるようになったおじいちゃんなどの引き取りを拒否する家族が後を絶たない。そこで医療を核にした地域コミュニティが機能すれば孤独になるひとを減らせる。

 

・人件費を減らす→無償で働いてくれるボランティアを招き入れる。その代わりに病気になった時は医療費を減額する。

 

・北原病院で実際に行われている「家族ボランティアシステム」

→病院に入院する患者さんの家族に対して病院でのボランティア活動を義務付けることによって室料差額を免除する。こうすることで自己負担額を月額7万ほど免除可能。

ボランティアの中身としては植木の植栽や散髪というように各々の得意分野を生かす。

 

地域通貨はびるすの発行

家族が入院したときにボランティアを行うのではなく、将来自分や家族が入院した時の備えとしてボランティア活動を行い、その報酬をはビルスという地域通貨で受け取っていくというシステム。元気のあるうちにポイントをためていざというときに利用する。いざ自分が病気になっても気心知れたスタッフの助けを借りるので安心感が違う。

 

→ボランティアシステムによって、患者負担の軽減・医療の信頼回復が実現される。

 

・健康に対する意識改革

病気や薬、食生活、介護などの知識を学ぶことによって退院した後の患者さんを家族がサポートすることができるようになる。また、個別の症状についての知識を深めるのはもちろんのこと、毎日の食生活や運動睡眠などの生活習慣も見直していく。病院が医療を提供する場であるのと同時にワークショップ(講演会)としての役割も果たせるようになる。

 

・携帯電話を利用した体系的なワンコイン診療

ワンコイン診療とは500円で受診で受診できる簡易人間ドック

駅ビルや大型商業施設など人の行き来が多いところにクリニックを開設

チェックシートの質問に答えてもらってから採血

結果を携帯に送信する

そこには診断と一緒にクリニックの裏にある薬局でDVDを購入してもらうように勧める

DVDがドクターの代わりになり、疾病の解説や注意事項、食事の指導などが全部入っているので自分がどんなことに気をつけて、生活習慣をどう変えていけばよういのかを病院に行かずとも理解することができる。

*採決と検査、DVDによる指導は国が定めるところの医療ではないので税金も保険料も使われない

 

・医療とはアートである

→一流の建設課が設計したホテルや美術館はそこにいるだけで落ち着く豊かな気持ちになる。人を考慮した医療施設であるべき。

医療は診察室で始まるべきものではなく、受付から始まる

スタッフの働きぶりを含めてホテルのような診療所を目指す

 

・自分の専門分野しか知らずに、他の分野に少しも興味を示さないような人間はいつか必ず失敗をする。そして過度な分業化を志向した組織は必ず破綻していく。

 

・ホテルのような良質なサービスを志す



医療崩壊の原因は財源不足

日本の総医療費は役35兆円で、50%が保険料、15%が患者の窓口負担、残りの35%が税金からという割合で捻出されている

GDP比でみると日本の総医療費は先進国中最下位

 

国民皆保険の原則:いつでもだれでも好きな医療機関で医療サービスをうけることができる(フリーアクセス)

その反面どの病院が良いかという情報はきわめて少ない

 

・自由競争化を認めると

アウトカムの開示が可能になる

値段相応の治療というような患者さんの選択が可能になる

 

・消費税を上げると

病院は患者から消費税をとることができないにもかかわらず、施設として購入するものには消費税がかかる

現在の日本の病院の7割が赤字経営

どうにか黒字を出しているところでも利益率1、2%

そんなぎりぎりの状態で消費税が上がればほとんど病院が経営においてピンチに

 

・医療法人は「もうけを考えてはならない」にもかかわらず税制上の優遇措置が取られていない。一般法人と同じように法人税を納付しなければならないし、公的資金で救済してもらえるわけでもない

 

・そこで病院が市場から広く資金を集められるようになれるだけで医療は変わることができる。産業化することによって50代以降の貯蓄の8割を押さえている層に払ってもらうことによって経済の活性化も望める

課題は所得や資産に応じたセーフティネット

 

・日本は真面目な医者が多くゴッドハンドもいるが不足しているのはCEO的な医者

 

・新医療制度

収入や資産に応じて自己負担する医療費の上限を5段階ほどに分ける

例えば収入0200万いないの人は月額8000円まで、年収5000万以上の人は月50万まで

というように、それぞれ上限までは自己負担として上限を超えた分は公金によって補てんする。

 

MRIなどの重複を防ぐためにICカードを導入する

 

・産業化することによって日本の医療器産業も発展する

→現在発展していない原因は診療報酬制度。たとえば国が診療報酬点数を下げるとメーカーも値段を下げないと売れなくなってしまう。国が決める点数制に対応しなければいけなくなるせいでメーカーは作りたがらない。

 

以上です!

詳しい内容が気になる方はぜひ本で読んでみてくださいね。

では、Take it easy!